原作のマンガは気になっていながらも未読だったが、リーガル・ハイを書いた脚本家の古沢良太さんが脚本ということで、これは見てみたいと思ったから。お涙頂戴の白ける美談で誤魔化さないのはリーガル・ハイと同様である。
中学校を舞台とするこのドラマには二人の「真面目」な先生が登場する。一人は「与えられた規則に疑いなく従う」足子(たるこ)先生。もう一人は「自分の信念を自覚し、論理によって問題に真摯に取り組む」鈴木先生。
足子先生は蒙昧な生徒を、自分の信じる正義によって矯正しようとする。一方鈴木先生は生徒たちの考える力を信じて議論をする。「俺はこう信じていて、その結果こう考える。ただ、俺の考えにはこんな欠点があることもわかるな。お前はどう考える。」といった具合である。
鈴木先生は対話を通し生徒たちの信頼を獲得していく。それに連れて、足子先生は壊れていく。対照的な二人の教師を見て感じるのは、自分の中に絶対的な正義を持つことの暴力性と脆弱性である。
しかし勿論これはそう感じるように設計されているんだろう。それでも僕は鈴木先生を支持したい。与えられた問題に自分で取り組むことが、より人間的であると思いたい。相手をねじ伏せることよりも、それぞれの価値観を尊重して、その上で歩み寄る、あなたの価値観はどんな形だと触れ合い確かめ合うことに喜びを見出したい。
ラスト2話では主役は鈴木先生から生徒たちになる。鈴木先生は生徒たちを信じる。成長した生徒たちの少々荒々しい議論見守る。それまでの話では大きく取り扱われなかった生徒たちも、それぞれの抱える問題を、考えを主張する。議論って素晴らしい!教育って素晴らしい!という爽やかな気持ちが湧き上がってくる。
良いドラマだった。